
コーチングをやっても業績は上がらない!
先日あるグローバル企業の「コーチング研修」の講師をしました。その時の参加者は、すでにコーチングの研修を受けてはいるのですが、どうも上手くコーチングができていないようなので、さらに追加の研修をという位置づけでした。
なぜ私がこの話を持ち出したのかというと、参加者の話をいろいろと聞いていると、これまで、日本(あるいはグローバルでも同じことが起こっているのではないでしょうか?)でおこなわれてきたコーチングという研修に、大きな勘違いがあるように思えてならないからです。勘違いというのは大きく2つの観点から言えるのではないでしょうか?
- コーチングというのは年に2回の業績評価の際に用いる手法である
- コーチングは教えるのではなく自ら考え行動できるように仕向ける手法である
コーチングはコーチされる人の「モチベイションを向上」して、「不足しているスキルを身につけさせ」そして「業績の向上につなげる」事が目的です。したがって年に2回の業績評価の際にコーチングを行うというのは根本的に誤った考えです。
「先週さあ、会社の管理職が集められてコーチングの研修があったみたいなの」
「ああ~、知ってる知ってる。うちの課長も出てたわ」
「なんかさ、戻ってきたら、バカのひとつ覚えみたいに、それで君はどう思う?の繰り返しで、話が全然前に進まなくなった」
「そういえば、うちの課長も、最近よく、その言葉使うよな~。でもなんかおかしいよね」
確かにコーチングの手法を使えば、本人が自ら答えを導き、自ら考えて行動できるようになりますが、こういった側面は、実はコーチングの中のほんの一部でしかないのです。
その結果、残念なことにコーチングをやっても業績は上がらない、という受け止め方になってしまったのです。そこでは、コーチイ(コーチングを受ける人)の
- モチベーションを向上させ
- 不足しているスキルを身に付けさせ
- 業績を改善する
という基本原則が適応されず、小手先のテクニックだけが強調されたからです。
ストーリーマップを使った「実践コーチング」
コーチングというのは、個人のパフォーマンス向上を目的としています。したがって、コーチングにはこうすれば絶対にパフォーマンスが良くなるという処方箋があるわけではなくて、一人ひとりのスキルレベルとやる気を判断した上で一人ひとりに対応する必要があるのです。これをスキル(業務遂行能力)とやる気(意欲)の両面から見るためのフレームワークが下のコーチングマトリックスです。

「実践コーチング」のストーリーマップは坂本龍馬の子孫である坂本龍子が主人公です。坂本龍子の経営する亀山社中株式会社の新入社員入社式で、龍子が設立当時の苦しい経験を、「コーチング」を通して立て直したことを、新入社員に語るというストーリーです。
坂本龍子は10年前に貿易会社の「亀山社中株式会社」を設立しました。最初の3年間は売り上げも順調に伸びていたのですが、4年目に入ってから売り上げも上がらなくなり、4人いる社員も元気がなくなってきたのか、なんとなく社内に活気がなくなり、ただただ日々の仕事をこなしているという感じになってしまいました。龍子が組織の運営で悩んでいると、ある晩の夢の中に龍馬が現れ、「高知の教えを忘れるな」と言い残して消えた。目を覚ますと枕元に不思議なメガネが置いてあったので、龍子がそれをかけると、4人の社員のパフォーマンスをどのようにして上げればよいのかが具体的に見えたのです。どのように見えたかというと、
- 社員の能力を最大に引き出すコーチングを実施すべき
- コーチングマトリックスを使って一人一人に対応すること
- PushとPullのアプローチを使い分けること
- コーチングダイアログをGROWモデルを使って実施
- コーチングカルチャーを築くこと
龍子は具体的に見えたことを実施しました。4人の社員のスキルとやる気を判断して、PushのアプローチとPullのアプローチをうまく使い分けました。そして、それぞれの社員に対して具体的な明確な目標を設定して、現状とのGAPを明確にして本人の目標達成にたいする同意を得ることができたのです。もちろん、各人の望むことや現状の進め方に対する不満や提案をしっかりと聴き、お互いの信頼関係を築いていったのです。その結果、これまで以上に高い目標に向かう組織を作ることができたのです。
これがコーチングのストーリーマップです。言ってることは簡単ですが、なかなか実践できません。しかし、このマップのおかげでコーチングの全体像が分かるようになり、いつでも使えるように練習することができるようになり、コーチングの技術も上達します。






